作:名無し
3-835氏へのキーボード代カンパ作品 つI@@
コンサートが終わって、わたしは舞台裏の機材溜りにそっと入り込みました。
今日のコンサートの途中で使った大道具や小道具をとりあえずおいておく場所で、舞台撤去まではスタッフの人も来ません。
「……プロデューサー?」
「やよい、こっちだ」
そっと声をかけてみたら、奥の暗がりから返事が聞こえます。
だんだん目も慣れてきて、見えたプロデューサーの笑顔にこれまでの疲れもきれいに消え去ります。
「あはっ、お疲れ様でしたプロデューサー!」
「お疲れやよい、よく頑張ったな」
「えへへ、わたし、頑張りましたか?」
「ああ。ファンのみんなも大喜びだったぞ」
おおきなウサギの書き割りの影、ちょうど通路からはわたしたちの姿は見えません。
もっとも、スタッフの人たちは撤収前の準備で忙しく、アイドルとプロデューサーがこんなところにいるとは思いもしないと思います。
そこら中がざわついていて、話し声も聞こえないし。
わたしとプロデューサーは、ライブやコンサートが終わると必ずこんな場所で集合します。
終わった直後、打ち上げが始まるまでの30分が、わたしたちの『こっそり反省会』の時間なのです。
「あの、始まる前、ちょびっとキンチョーしちゃってすいませんでした。
こんな大きな会場、初めてだったから」
「問題ないさ、ちゃんとスタートできたじゃないか。お前のことを好きなファンは、今や大ホールを埋め尽くすほどいるってことさ」
「はい。舞台に出たとき、ファンの人たちが『わああー』ってなってくれて、すっごく嬉しかったです」
「伴奏聞こえなくなるくらいだったものな」
「あ……歌い出し失敗したんでした、ごめんなさあい」
「いいんだよ、やよいが感激してたのがファンに伝わってたから」
ここでする『反省会』では、プロデューサーはわたしのことを叱りません。
コンサート後や次の日に事務所でするほんとの反省会では厳しいことをいっぱい言われるけど、それはわたしの技術を伸ばすため。
いまここでする反省会は、わたしの心を拡げるため。……プロデューサーはいつもそう言ってくれます。
「でもでも、MCでもわたし、噛みまくりだったですよ?」
「言い間違えが3回、つっかえたのが5回かな。そのたびにファンが楽しんでいた。
やよいのファンは完璧にふるまうやよいを見たいわけじゃないんだよ。
すぐ隣にいて、自然に微笑んでくれる妹みたいなお前を見たくて、こうやって集まってくれるんだ」
だから、わたしもつい甘えたことを言ってしまいます。今の話なんか、明日はたぶん事務所で大目玉です。
「妹、みたいな……?」
「そう。やよいはファンみんなの妹なんだ」
「……あのっ」
「うん?」
「ぷ、プロデューサーは……どうですか?」
「どうって?」
「プロデューサーは、わたしのこと、妹みたいって、思ってくれますか?」
少し前、番組収録の時に、プロデューサーがいいって言うから『お兄ちゃん』って呼んでみたんです。
それ以来、時々こっそり『お兄ちゃん』『なんだい、やよい』って呼び合ってるんです……けど。
「あ、ああ。そうだな」
「……プロデューサー?」
今日はプロデューサーの様子が少し違います。お話の途中から目を合わせてくれなくなってるし。
「プロデューサー、どうか……しましたか?お腹とか痛いんですか?」
「い、いや、そんなことはないよ」
心の中に不安が湧き上がります。わたし、なにか大失敗しちゃったのかな?プロデューサーに嫌われちゃったのかな?
なれなれしい子、って思われちゃったのかな?
「プロデューサー、あの、わ、わたし、いけなかったですか?なにかダメなことしちゃいましたか?」
思わずプロデューサーに詰め寄ります。
背広の胸に両手を当てて、勢いづいて少し押しちゃったみたいで、プロデューサーの背中が後ろの壁に当たりました。
お洋服汚しちゃったのが申し訳なくて、ますます悲しくなります。
「あのっ、わたし、な、なんか悪かったですか?
あの、直します!いけないところあったら、頑張って直しますから、教えてください!」
「……やよい……そうじゃ」
「じゃあ、じゃあどこが――っ?」
急に目の前が真っ暗になりました。
何が起こったのかわからなかったですけど、体を締め付けているのがプロデューサーの両腕だって気付いて、それでわかりました。
わたしは、突然プロデューサーに抱き締められていたんです。
「プロ……デューサー?」
「い……もうと……じゃ、ない、んだ」
プロデューサーの震え声。
強い腕の隙間で首を回して顔を見ると、ぎゅっと目をつぶって今にも泣きそうです。
「……え」
「俺は……プロデューサー失格だ……お前のことを、もうタレントとして見ることが出来ない」
閉じられていた目が開き、わたしを見つめました。いつもと違う、熱のこもった目つき。
「やよい……お前が、好きだ」
「……わたしも、プロデューサーのこと好きですよ?」
「違う!愛してるんだ!」
「――んっ」
口にキス、されました。両手を肩と頭の後ろに回され、わたしの唇にプロデューサーの唇が強く押し付けられます。
わたしは驚いてしまって、身動きが取れません。
プロデューサーのあごが動いて、わたしの口を開き、ベロが……入ってきました。わたしのベロをまさぐって、絡めようとします。
でも、不思議といやな感じはしませんでした。
さっきの『愛してる』っていう言葉が、わたしの頭の中でとろけて、染み込んでゆきます。
お父さんとお母さんのことを思い出しました。ああ、『愛してる』ってこういうことなんだ、と、わかりました。
わたしはいつのまにか、自分からプロデューサーの体を抱き締め、自分でも口を大きく開け、キスを受け入れていました。
「ん……んっ、……うん」
「ん、む……んっ」
お互いまるでうなずきあっているみたいに、うんうん言いながらキスを続けます。
学校の友達から借りて読んだ漫画みたいな、ちゅっ、ちゅっ、という音が口の中で響きます。
ほんとにキスって、こんな音がするんだ。
すごく長くしていたと思ったけど、口を離した時周りのざわめきがそのままだったので実は短い時間だったんだって思いました。
唇が離れる時、つばが糸電話の糸みたいにぴんと張っていました。
「んは……っ」
「……やよい……ごめん」
呼吸を整えようとしていると、プロデューサーが謝ってきます。
「俺は……ダメな奴だ。アイドルのプロデューサーでありながらその枠をはみ出す、自制もできない、人間のくずだ」
そんな言い方をしますが、わたしにはプロデューサーがだめな人には見えません。むしろ……。
「プロデューサー……こっち向いてください」
「?」
わたしはプロデューサーの顔に両手を添えて、今度はわたしからキスしました。
今してくれたみたいなのはよくわかりません。
びっくりした表情のプロデューサーの唇に自分の口を押し付け、ベロを押し込んでみました。
「んむっ……や、やよい?」
「……ふふっ」
慌てて顔を離してわたしを見つめるプロデューサーの顔は、今までで一番すてきに見えました。
「プロデューサーは、ダメじゃないです」
「……」
「わたしも、プロデューサーのこと、アイシてますからっ」
「……お前」
「わたし、タレントでも妹でもなかったら、ひょっとして『恋人』ですか?えへへ」
そっとプロデューサーの体に両手を回しました……背広の上じゃなく、服の中に。ワイシャツ越しにあったかい体温が感じられます。
「恋人だったら、どんなふうなんですか?プロデューサー、教えてください」
ぴったりと体を押し付けて、顔を胸に当てます。どきんどきん、って心臓の音が聞こえます。
なんだか急に無口になったプロデューサーは、でも、わたしのお願いを聞いてくれる気になったみたいです。
やさしく背中に手を当ててくれて、もう一方の手でわたしの頭をなでてくれます。
今日、初めてなでてくれたんです。
「やよい……いいのか?」
「はい。プロデューサー」
ほんと言うと、なにがいいのかよくわからなかったんですけど。
でも、たぶんお父さんとお母さんが、弟たちが寝静まってからしてることだって思いました。
わたしも一度しか見たことないですけど、その時のお父さんとお母さんはすごく幸せそうで、
わたしもいつかああなりたいって思ったんです。
だから、背中にあったプロデューサーの手がだんだん下に下りてきて、
赤いスカートの中に入り込んで来てもびっくりしませんでした。
もう片手も頭を離れ、ニットのセーターの中で背中をさすっています。
「ふぅっ」
おしりを触られて、ちょっと声が出てしまいました。なんだか急に恥ずかしくなって、プロデューサーにぎゅっと抱きつきます。
「……怖いか?やめようか?」
「へ、へーきですっ」
プロデューサーがあたりを見回して、二人で抱き合ったまま大道具の踏み台に腰掛けました。
わたしはプロデューサーと向かい合って、その膝の上にまたがるみたいに。
「あ……あのっ」
「なに?」
「あの、わたし、お洋服脱ぎましょうか?」
お父さんもお母さんも、わたしが見たときは裸でした。
だから、ここで全部脱ぐのかなって思ったんですけど。でも、プロデューサーは笑って首を振ります。
「脱がなくてもいいようにするよ。誰かに見つかったら、服を着るヒマなんかないだろ?」
「あ、それもそうですね――ひゃんっ?」
セーターの下の手はいつの間にかブラウスとキャミソールもくぐり抜けて、わたしの胸を触っていました。
「ひう……はずかしいですぅ」
「恥ずかしくなんかないよ。誰にも見られないだろ?」
「いえ、その……わたし、ちっちゃいから」
このあいだのファン感謝祭で、あずささんや美希さんとお話していて、ちょっと意識していたところでした。
わたしのはサイズが小さいから、男の人は嬉しくないんじゃないかって。
「男ってのはな、好きな人の胸が大きかろうが小さかろうが関係ないんだ。だって、ほら」
「っあ!?」
先のところをつままれたようです。つい声を出してしまいました。
「ほら、こんなに感度がいい」
「か……感、度?」
手のひら全体でさすったり、お風呂のスポンジを泡立てるみたいに揉んだり、指でちょんとはじいたり。
そのたびに勝手に声が出たり、体が跳ねたりしてしまいました。周りが静かだったら、誰かが気付いたかもしれません。
「かわいいやよいが俺の手の中で反応してくれる。俺はそれが嬉しいんだ」
「ふ……っ、わ、わたしっ、も、ぷ、プロデューサーが触って、くれて、う、嬉しい、……っです、う……ひゃっ?」
喋るあいだに今度は、ぱんつの中に手が入ってきました。大きくて、柔らかくて、あったかい手がおしりを直接触ります。
「あ、あの、あのあのっ」
「どうした?」
「あのほら、ほらわたしコンサートの後で汗かいてますから、その」
「気にすんな」
指が、おしりの割れ目をなぞります。ゆっくり動きながら、……前の方にも。
「あふ……ん、き、きたない、ですよう」
「汚いもんか。大切なやよいのどんな場所だって、綺麗に決まってる」
布地を引っ張られ、わたしは足を動かして下着を脱ぎました。
スカートははいたままですが、のーぱんです。体を動かすたびにすーすーします。
お風呂やトイレでしか触ったことのない場所を、男の人の手で触られて、なんだかきゅんとした気持ちになりました。
人に触られると、こんな感じなんだ。
「なんか……ヘンな感じです」
「気持ちいい?」
「なんだかくすぐったい感じ。あと、きゅってなるみたい」
「ここは?」
「ふわ」
手を前に回して、指で……開いて、真ん中を触られました。
不意に体中の力が抜けて、プロデューサーの上にしゃがみこんでしまいました。
「……あ、あ……プロデューサー、ごめんなさい、重かったですか?」
「やよいは大丈夫だったか?」
「あ、はい、なんか、急にフワッてなって……はわ?」
体勢を立て直すときに、ちょっとあそこを触ってみてびっくりしました。なんか、ぬるぬるです。
「なんだ?」
「あ、あれ?プロデューサー、わっわたしオモラシしちゃいましたあ」
腰を上げたら、プロデューサーのズボンの足のところにも染みています。
「はうう、ごめんなさいっ、わたし、わたしっ」
「お漏らしじゃないよ、やよい」
「えっ?」
「女の子はね、気持ちいいと、ここがこうなるんだ。知らなかった?」
プロデューサーが説明してくれます。言いながら、またわたしのあそこに手を伸ばしてきました。
「し、知りませんでしたぁ……あ、あん」
「力を抜け。痛い事はしないから」
座ったプロデューサーにまたがって膝立ちになり、両手をプロデューサーの首に巻きつけます。
宙に浮いたお股にプロデューサーの手が当てられ、やわやわとマッサージが始まりました。
「大事なやよいの泣くようなことはしないよ。今日は、好きな人同士はこんなことをするんだって憶えてくれ」
「は、はいぃ……」
プロデューサーの指が動くたびに、わたしのお尻がぴょこぴょこと踊ります。恥ずかしくて止めようと思っても、止まりません。
「ふぅ、ふ……うっ、は、恥ずかしい、ですよ、ぉ」
「大丈夫さ。誰にも見られてない」
「違いますう……プロデューサーに見られてるから……」
「今のやよいは、最高にかわいらしいよ」
「ほ、ほんと、ですか?」
また二人でキス。お互いの口を吸い合うように、ちゅっ、ちゅっ、って。
「ん、んく。……ぷ、プロデューサー、は」
「うん?」
「プロデューサーは、気持ちよくならないん、ですか?」
わたしは、プロデューサーに触ってもらって、さっきから何度も気持ちよくなっています。でも、プロデューサーは。
「わたし、プロデューサーにも……」
「ん……なら」
「ひゃ」
わたしの胴に腕が回され、くるんと体を回転させられました。
プロデューサーの腰の上に、おんなじ向きでお座りの体勢。
今の勢いでわたしのスカートがおおきくまくれ上がっています。
プロデューサーはその間に手を伸ばして、自分のズボンのチャックを下ろしました。
「きゃっ」
「実は、さっきから……このありさまで」
思わず両手で顔を覆う指の隙間から、プロデューサーのおちんちんが見えます。
コウジとかとは比べ物にならないくらいおおきくて、なんだか固そうです。
それがわたしの腿に触れていて、すごく熱い体温が感じられます。
「腿で挟んでくれないか?」
「う、は、はい……こうですか?」
両足に力を入れます。触っているところが火傷しそうに熱く、わたしのあそこにも熱が伝わってきます。
「そうだ、ゆっくり動いて」
「こう、ですか?」
そっと腰を上げたり下げたりしてみました。腿とあそこにこすれながら、脚の隙間から見えたり隠れたりします。
「すごく……熱い」
「気持ちいいよ、やよい」
「わたしも、です」
何度か動くうちにコツがつかめて、リズムに乗って動けるようになりました。
両手をプロデューサーの手の指と絡めて、きゅっ、きゅっ、って動きます。
だんだんスピードを上げていくと、プロデューサーの息遣いも早まります。
「き、気持ちいいですか?プロデューサー」
「ああ……最高だよ、やよい」
「ふ……うぅっ、うくぅっ」
わたしのあそこも一緒にこすれて、それが気持ちよくてますますスピードが出てきます。
「あ、はぁ、……ふぁ、ああ、プロ……デュー、サーぁ」
「ふうっ、ふうぅっ……や、やよい……っ」
「わ……わたし……わたし、なんだか……っ」
プロデューサーとわたしのつながっているところから、なにかあたたかくてあまずっぱいものがお腹に広がっていきます。
「は……ふ、プロデューサー?プロデューサー!」
腰の動きが止まりません。でも、目がプロデューサーの顔を捜しています。
この向きではプロデューサーの顔が見えません。
「プロデューサー、プロデューサーっ!」
たまらず、脚を離して体の向きを変えました。プロデューサーにまたがって、体をぎゅっと抱き締めました。
「プロデューサー!」
「やよい!やよい、愛してる!」
「わ、わたしも大好きです、プロデューサーが大好きです!」
二人で強くキスしました。もう、顔がめりこんじゃいそうな強さで。
その時、プロデューサーがびくびくって体を震わせたのを感じました。
よく知らなかったけど、気持ちよくなってくれたんだってわかりました。
わたしのお腹にひろがった気持ちいいかたまりも全身に広がり続け、手足や髪の毛の先まで幸せで一杯になりました。
わたしは、プロデューサーが大好きです。
プロデューサーも私のこと好きだって言ってくれました。
なんとなく、アイドルやってる間はヒミツにしなきゃって思ったので、ぐったりしているプロデューサーに言いました。
「わたし、これからも、アイドル頑張りますね、プロデューサー」
「……ああ。でも、それでいいのか?」
「はい!わたし、プロデューサーと一緒だったら、それでもう全然オッケーです!」
プロデューサーはちょっとの時間、真剣な顔をしましたが、やがてにこって笑ってくれました。
「……そか。うん、それなら、よろしく頼むな、やよい」
「はいっ!」
わたしの頭を撫でてくれます。その嬉しさだけで、なんかまた気持ちよくなりそう。
「……あの、でも、……あの」
「なんだ?」
「……時々は、その……また、今みたいな……こと……?」
「ふふっ。もちろんだよ」
「いぇい!」
そのあと、私の衣装やプロデューサーのお洋服が大変なことになってしまっていたのが判ってちょっと慌てたけど、
なんとか打ち上げには間に合いました。
その翌日の『ほんとの反省会』では、失敗したとこめちゃめちゃ怒られたし、筋肉痛もひどかったけど、わたしは幸せです。
だって、こんなに素敵な――今のところは――お兄ちゃんと、一緒にいられるんですから。
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